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制することはできません。この問題を解決するためには人々に問題を語りかけ、十分に理解してもらったうえで自発的な行動を導き出すより他に方法はありません。その意味で、各国指導者の中でも、人々から直接選ばれ各国の意思決定に携わっておられる国会議員の役割が一層重要になります。
私たちはこの認識に基づき、アジア各国国会議員の皆様の人口と開発に関わる活動を支援することを使命としております。
昨年はローマで開かれた食糧農業機関(FA0)の「世界食料サミット」に向けて活動を行い、AFPPDとともにクアラルンプール、キャンベラ、ジュネーブでの会議を支援してまいりました。
また、私どもは人口と開発に関わる活動を支援するために調査研究事業を行い、資料提供を行っております。今回も私どもの財団が農林水産省から委託を受け実施した
「ラオス国の農業・農村開発に関する調査」の報告を東京大学名誉教授で国の文化功労者である川野重任先生より、そして厚生省より委託を受け実施しました「フィリピン国の都市化と開発に関する調査」の報告を日本大学人口研究所名誉所長で本年度の国連人口賞受賞が決定しております黒田俊夫先生よりご報告いただきます。
この両先生は日本が世界に誇る学者であり、私どもアジア人口・開発協会の理事をお務めいただき私どもの活動をご指導いただいております。
本年度のAPDA会議のテーマは「人口と水」とさせていただきました。水、とくに淡水資源の逼迫は日を追って激しくなってきております。人類生存に不可欠な資源の中でもっとも早く不足すると言われる水の問題に焦点を当てることは、時宜に適ったものであると思います。
今回、水の問題に関しまして、3人の卓越した学識経験者にご発表をいただきます。まず、地球という視点から見た水について、環境・気象の権威である宮崎公立大学の内嶋善兵衛先生、農業生産と水という視点からベトナムの国会議員であり、ベトナム・カントー大学教授であるボー・トン・ズアン先生、そして公衆衛生という観点から慈恵会医科大学の小川康恭先生からご講演をいただきます。ご参会の皆様に十分ご協議いただき、人類の未来のために今後の各国の政策に少しでも資することができれば、これに過ぎる喜びはございません。
私どもアジア人口・開発協会は小さな組織でございますが、今後とも人口・開発問題解決のためにたゆまぬ努力を続けてまいります。神戸での開催に当たりご協力いただきましたご出席の各国国会議員の皆様、UNFPAやIPPFなどの国際機関、さらに地元関係者の皆様に改めて深く感謝申し上げ、主催者挨拶とさせていただきます。

 

 

 

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